勇気ある記事  本部長VS県知事 2007/9/4(火) 午前 10:37

以下6月19日の高知新聞記事です

県の捜査費報告  本部長“圧力” 「警察権力の脅し」 県幹部ら猛反発

2007.06.19 朝刊 29頁 社1 写有 (全2,590字) 
 
圧力か、忠告か−。県が進めていた県警捜査費執行実態に関する調査結果の公表をめぐり、鈴木基久県警本部長が「これを公表すれば知事は危うくなる」「取り扱いを慎重にした方がいい」と橋本大二郎知事に述べた発言が波紋を広げている。発言が明らかになった十八日、調査を進めた県の幹部職員らは一様に「警察権力による脅し」と猛反発。県議会からも「知事選も近い時期に気持ちの悪い発言だ」などと疑問視する声が相次いだ。(竹内誠、半田裕一)

 鈴木本部長が橋本知事に圧力めいた発言をしたのは十三日の夕方。同知事はそのわずか三十分後、調査を担当した会計管理局と総務部、さらに秘書課や県政情報課の幹部ら十数人を緊急招集した。知事は淡々とした口調で鈴木本部長の発言内容を伝えたという。

 ある幹部職員は「(本部長の発言内容を)聞いた瞬間、カッとなった。すぐに招集を受けたので公表方針の変更があるのかと感じた」。秘書課サイドも「本当に調査内容は大丈夫かと心配になった」と、本部長発言が相応の重みをもって受け取られた様子を説明する。結局、調査に当たった職員らが調査手法を説明し、「粛々と」公表する方針になった。

 鈴木本部長の真意はどうあれ、県幹部らの受け止めは「脅し」「圧力」で共通している。

 取材に対し、県幹部らは「警察権力の政治家への脅迫。けしからん発言」「完全な脅し。捜査費問題に対する県警のごう慢な考え方が凝縮されている」と口をそろえて反発。ある幹部は「暴力団が『おたくにも小さい子どもさんがいるよね』とニヤニヤしながら言うのと同じだ」と強い憤りをあらわにした。

 波紋は県議会にも。ある自民党県議は「まだ読み込めていないが、県の調査報告は新たな事実もなく薄っぺらな印象。知事もこれ以上、打つ手はない」としながら、「発言が本当なら、知事選を控えた時期に気持ちの悪い発言」。別の保守系会派の県議は「何が危うくなるのか、真意が分からない。あの本部長にしては不用意な発言だと思わざるを得ない。失言の部類だとは思うが…」。

 共産党県議は「知事への脅しにより警察権力の体質が明らかになった。内部調査結果もマスキング(黒塗り)で県民に真実を隠してきた県警が、そんなことを言える立場にはない」と批判した。

 市民オンブズマンの一人は「高知県での追及はしつこいし、厳しいし、うっとうしいんでしょう。県警の悪あがき。往生際が悪い」。

 昨年二月に県警捜査費の一部を「違法・不当」と認定する特別監査報告を出した県監査委員事務局の幹部は「何ともコメントのしようがない」としながら、「行政の人間の発想にはないものの言い方だ」と続けた。

  * 県警“火消し”に躍起 「圧力の意図ない」と釈明

 県警捜査費に関する県の調査結果公表をめぐる橋本大二郎知事に対する鈴木基久県警本部長の発言が波紋を広げた十八日、県警幹部は本部長発言が大きく問題化するのを避けようと“火消し”に躍起。当の鈴木本部長は県警の内部調査への自信を示した県議会散会直後とは一転、発言が明らかになって以降は報道陣の求める記者会見には応じず、「知事とそういうような話をしたことは事実。内部調査には自信を持っており、調査結果の取り扱いは慎重にされた方がよいという趣旨だった」とわずか三行の短いコメントを発表しただけだった。

 県警総務課の担当者は本部長発言が伝わった当初、「そんなことを(知事が)言ったの?」と驚いた表情。報道陣からの会見の申し入れに対し、「本部長は『県の調査が間違いであれば知事が困るのでは、との意味合いで助言した』と言っている」と硬い表情で釈明した。結局、会見の設定には応じず、本部長発言に圧力の意図はないと繰り返した。

 報道陣は「発言は知事への圧力と受け止められるのでは」「発言は適切か」など八項目の質問を文書で提出し、再度強く会見を要請したが、鈴木本部長は同日夕、県警本部を後にした。(奥村盛人)

  《本部長発言を考える 社会部・大山哲也》 言葉の重さ どこまで自覚

 県警の捜査費執行を調べた橋本大二郎知事に対し、鈴木基久本部長が発した「知事(の立場)は危うくなる」発言は、強大な強制力と権限を持つ捜査機関のトップとして、決して言うべきせりふではない。

 本部長は圧力の意図を否定している。知事自身も圧力を感じたとは必ずしも明言していない。しかし、知事の「自分は別に誰が何を言おうと圧力とは感じない」という言い回しは、本部長の発言に圧力的な意味合いが含まれていたことを暗に示している。

 本部長は「捜査のプロである警察の(内部)調査と、県職員の調査のどちらが信用できるのか」と県の調査結果に強い疑問を示した。しかし、身内の調べにどこまで信用性があるのか。県警による身内の調査に信が置けなかったからこそ、知事自身が県の独自調査を決断しなければならなかったのではないか。内容が乏しかったにしろ、県の調査を「プロではないから」とおとしめる論理には何の説得力もない。

 捜査費疑惑をめぐる警察組織の発言では、宮城県の浅野史郎・前知事が十七年に宮城県警の捜査費執行を停止した際、警察庁の漆間巌長官が「警察活動への介入で言語道断だ」と発言し、批判を浴びたことがある。

 今回の本部長発言は、それに近い重大な問題をはらんでいる。県のトップに対し、警察権力を束ねる本部長が圧力めいた言葉を掛ける。しかもその中身は警察自身の疑惑であり、疑惑に対する調査結果の公表に関する発言でもある。

 県庁内になぜ、猛烈な拒否反応が巻き起こっているのか、当の本人は認識できていないのではないか。県知事が名指しで発言内容を指摘し、それが波紋を広げたにもかかわらず、本部長は自ら県民に説明しようとする姿勢を見せなかった。

 県警は特別監査でも今回の調査でも、協力者に関する情報は一切開示しなかった。さらに今回は県側が捜査員名を書き取ることを禁じ、内部調査の資料は廃棄したとまで説明した。これでは調査拒否に等しい。

 これまでの疑惑、そしてそれに対する県警の組織対応の延長線上にあるのが今回の発言だった。

1 littlemonky737 2008/3/12(水) 午前 11:54
高知の白バイ事故もこれと同じ『社会部』の担当。

この記事を書くことにより権力からの意趣返しがあり、「権力への物言い」に懲りたのかな??

それとも 借り(恩)を返しているのか?

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