2審判決文その9 2007/12/17(月) 午前 1:30

(2)A隊員の原審供述の信用性について
 
 
所論は(弁護人は),吉岡車の速度に関するA隊員の原審供述は,信用することができない,と主張し,その論拠として,

H−1
 @A隊員は,中央分離帯に存する植樹の隙間から白バイのライトらしきものが見えた     ので,白バイが来ているのが分かった旨供述しているが,当時の植樹状況,国道のわん曲状況,晴天の日中であること,吉岡車のライト点灯状況が不明であることに照らして         不自然である。

H−2
 AA隊員が,トンネルを通過しカーブを曲がった直後に約80メートル離れた地点から吉同車の状況を正確に見ることができたか疑問がある,

H−3
 B瞬時の目撃で対向してくる二輪車の速度を判定することは極めて困難である,

H−4
 C実況見分に被告人や品原を立ち会わせず,吉岡と同じ白バイ隊員のA隊員しか立ち 会わせなかったことなど警察の対応が不自然である,と指摘する。

I−1 
@の被告人車の認知可能性の点についてみると,
A隊員は上記植樹の隙間から二輪車のライトらしきものが見えたので,二輪車が来ているのが分かり,その二輪車が中央分離帯に植樹が全く存しないF地点に至った時に白バイであると分かった旨供述している(59項等)のであり,

I−2
その視認状況は,国道の状況とも符合しており,何ら不自然ではない。なお,白バイは,エンジンキーを挿入すれば,自動的にライトが点灯する仕組みになっている(A隊員の原審供述65項)。

I−3
Aの祖語の正確性の点についてみると,A隊員は,平成11年4月から交通機動隊に所属し,白バイ乗務歴7年を有しており,目撃時も白バイで交通取締り中であって,道路交通の状況を注意しながら時速約50ないし55キロメートルで進行していたから,

A隊員が,対向車線とはいえ,約80メートル離れた地点から吉岡車の状況をほぼ正確に見ることができたことに疑問はない。

I−4
 Bの速度判定の困難さの点についてみると,A隊員は,上記の白バイ乗務歴を有し,取締りの必要のため,年に一,二回は進行中の車両の速度を目測する訓練をしている上,日ごろの取締中にも目測能力を養う努力をしているから,吉岡車が時速約60キロメートルと判定できたことに疑問はない。

I−5
 Cの実況見分の立会人の点についてみると,被告人を立ち会わせなかった事情やそれが違法あるいは不当でないことは上記のとおりである。

被告人車の後方で自分の自動車を運転して追従中の品原は,吉岡車が被告人車の直前に進行するまでそれに気付かなかったもので,白バイ隊員で交通取締り中に衝突の相当前から目撃していたA隊員がいる以上,
 
 衝突状況等を明らかにするための実況見分に立ち会わせる必要が乏しいから,実況見分にA隊員しか立ち会わせなかったからといって,警察の対応が不自然であるとはいえない。

1 iiojyun 2007/12/31(月) 午後 3:10
《Hー4》《Tー5》について。
警察官のマニュアル『交通事故事件捜査』には、
「事実認定に必要な地点の特定は、通常、被疑者を立ち会わせ、その指示説明と客観的な現場の状況とをにらみ合わせておこなうものであり、できる限り被疑者以外の者も立ち会わせることにも配慮する」と書いてある。
だから本件では、片岡さんと品原校長を立ち会わせなければならない。それを警察白バイ隊仲間の同僚で、しかも3人の中で最も遠方から見ていたというA隊員(A隊員は本当は見ていなかった)の立ち会いのみで実況見分をおこなった。
(これがもし白バイではなくて一般バイクが衝突した事故であったならば、片岡さんと品原校長を排除しなかったのである)。

・・最高裁において上記のシバタの屁理屈が通るならば、警察車両との事故が起きた場合に、被疑者や直近の目撃者を実況見分の立ち会いから排除して、事故当事者の警察官だけの立ち会いで同じ組織の警察官が実況見分を実行し、実況見分調書を作ることが公然と認められることになります。

このことは、全てのドライバーに実害を及ぼすものとなる、大きな問題点です。

2 iiojyun 2007/12/31(月) 午後 3:16
(つづく)また最高裁においてシバタのこの屁理屈が通るならば、警察車両だけでなく「公用車」との事故の場合にも拡大される怖れがあります。
(参考、ミスター・バイク1月号の柳原三佳《一瞬の真実》)

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