その12 原審供述と校長と証人Dの信用性 2007/12/17(月) 午前 1:39

 5 被告人の原審供述等の信用性について

 (1) 被告人の原審供述
N−1
 所論は,論旨に沿う被告人の原審供述は信用することができる,と主張し、その論拠として,被告人は,当時,多数の生彼等が乗車している車両を運転していたから,「右方道路を一瞥したのみで,右方道路から進行してくる車両等はないものと軽信し,安全確認不十分のまま発進するなどという無謀な運転をするような状況ではなく,

 現に吉岡車との衝突前には,路外施設から自歩道に出る際とそこから車道に出る際にいったん停止して右方道路を確認している,と指摘する。

N−2
 しかしながら,多数の生徒等が乗車している時には決して注意義務を怠らないとは到底いえず,また,仮に,以前にいったん停止して右方道路を確認したことがあったとしても,今回も注意義務を怠らなかったとはいえない。



 (2)品原信介及び証人Dの各原審供述

  所論は,品原及び証人Dの各原審供述は,いずれも信用することができ,被告人の原審供述を裏付けている,と主張し,

O−1
 その論拠として,校長である品原は,自動車を運転し,被告人車に追従してその運行を監督していたものであり,証人Dは,被告人車に乗車していたもので,生徒を監督していたため,被告人車の動きを細かく記憶していなくても,信用性は損なわれない,と指摘する。

O−2
 しかしながら,原判決が適切に説示しているとおり,品原及び証人Dの各原審供述は,上記のような路上の状況並びに被告人車及び吉岡車の損傷状況等と符合しないから,原判示認定に反する部分は信用することができない。

1 iiojyun 2008/1/8(火) 午後 3:20
・Dは、スクールバスの左側の前から2番目窓際に乗車していた先生で、書庫『第4回公判傍聴録』その4〜6で証言。
・品原校長は『第4回公判傍聴録』その1〜3で、C証人として証言。

2 iiojyun 2008/1/8(火) 午後 3:37
スクールバスの安全運転を監督しその安全を注視していた品原校長は、法廷ではもちろん、TVや雑誌などにおいても、
「バスは右折のため(中央分離帯付近で)止まっていた。そこに何か物体が衝突してきた」(マガジンX1月号)
「私は法廷でも証言したのですが、スクールバスは間違いなく止まっていました。そこへ、なにかがもの凄いスピードで、右カーブをきりながらバスの右前にぶつかったんです。それが白バイだったということは後でわかりました。あの状況でどうやったらバスのブレーキ痕が1メートルもつくというのでしょう。これは、私の目の前で起きたことです。私は自分を信じます」(ミスター・バイク1月号)
と述べています。

3 iiojyun 2008/1/8(火) 午後 3:57
《Oー2》について。
「路上の状況、スクールバスの損傷状況、白バイの損傷状況」は、
片岡さん、支援者の皆さん、石川交通事故鑑定人、柳原三佳氏、読者のコメントなどによって、検証と考察がなされてきました。
その結果は、シバタの作文は間違っているということです。

4 iiojyun 2008/1/9(水) 午前 5:20
《推理すれば・・》
ブログで公開された事から以下のように推理する。

【(1)高知方向から土佐方向へ向かっていた同僚のA隊員は、土佐方向から進行してくる白バイも、それがスクールバスに衝突する瞬間も見ていない。(2)事故後に、片岡さん、品原校長、引率教諭、生徒さん達を事故現場の路面から排除して、路面にスリップ痕などの捏造工作を行った。
(3)捜査機関(警察・検察)が、片岡さんを罪にハメるストーリを完成させたのが事故(06年3月3日)から八ヶ月経た頃である。
(4)06年11月6日、検察官は片岡さんを検察庁へ呼び出した。検察官は、ストーリー上の現場見取り図やスリップ痕様のものを見せつけて、片岡さんの頭の中を真っ白にして(判断能力を喪失させて)、検察官調書(カタタ「原審乙4」)に署名指印を(取)盗った。

5 iiojyun 2008/1/9(水) 午前 5:43
(5)06年12月13日までに片岡さんを業務上過失致死罪で起訴した。
(6)捜査機関は科捜研の技官に、ストーリー上の現場見取り図などに合致するような算定書を作成させた。

6 iiojyun 2008/1/9(水) 午前 9:45
(7)A隊員はストーリー通りに、あるいはストーリーに沿って証言した。】

〔二〕脆弱な証拠構造
【(a)@現場見取り図、A隊員の目撃証言、スリップ痕の写真、算定書の四本
(b)検察官調書(原審乙4)
が有罪を認定する証拠構造になっている。

以下検討を加える。

7 iiojyun 2008/1/9(水) 午前 10:04
(a)現場見取り図=A隊員の目撃証言は、
・品原校長の証言
・事故白バイのすぐ後を走行していた軽トッラク運転者の証言
・スクールバスに乗っていた生徒達の証言
・バスが右折待ちで中央分離帯付近で停止いていた時に生徒が撮影した写真
・第三者がレストラン駐車場から、分離帯付近で右折待ちの片岡さんの顔をはっきりと目撃していた(新証言)
この証言は、片岡さんがバス車体を右斜めにして右折の体勢に入っていたこと、その後に白バイが衝突してきたことを示している(07.12.9、ザ・スクープ)
などの証言によって、その合理性を失っている。

8 iiojyun 2008/1/9(水) 午前 10:19
・スリップ痕の写真は、片岡さん・支援者・石川鑑定人達による再現実験とその鑑定で、捏造性を証明されており信憑性を失っている。
何よりもカタタ原審が再現実験を行うことなく判決文を書いたことは、有罪認定の証拠に致命的な脆弱性を持つ。
・算定書はストーリーを数式を使って数字合わせしただけに過ぎないもので、ストーリーの信憑性が失われた以上、算定書の信憑性も失われた。

以上から、(a)の四本の証拠は、ことごとく、その合理性を失った。

9 iiojyun 2008/1/9(水) 午後 2:32
(b)は、前の記事のコメントと書庫「日記」の『安全確認と信頼の原則』をとりあえずお読み下さい。

10 iiojyun 2008/1/9(水) 午後 3:38
(b)検察官調書(カタタ原審乙4)について。
最高裁判例(S41年)は、
交差点で右折しようとした車が中央付近でエンストをおこし、再び発進しようとしたところ、右側から、他の車両が中央線をこえて突っ込んできたために衝突した事故について、
『自動車運転者としては、特別の事情のない限り、右側方からくる他の車両が交通法規を守り自車との衝突を回避するため適切な行動に出ることを信頼して運転すれば足りるのであって、本件被害者の車両のように、あえて交通法規に違反し、自車の前面にを突破しようとする車両のありうることまでも予想して右側方に対する安全を確認し、もって事故の発生を未然に防止すべき業務上の注意義務はないものと解するのが相当』
だとして、被告人を無罪にしたのである。
その後この信頼の原則の適用を拡大し、たとえ被告人の側に交通規則違反がある場合であっても、信頼の原則の適用による後方安全確認義務の免除がありうるとした。
信頼の原則の適用上の要件として、これまで一般的に指摘されているのは、

11 iiojyun 2008/1/9(水) 午後 3:46
まず交通の円滑な運行の必要性という大前提の下に、道路、信号など交通環境の整備、および交通道徳の普及による交通規則遵守の慣行の成立といった点が、一般的な前提的基礎とされている。
その上で、信頼の原則を排除する「特別の事情」としては、
・被害者が交通秩序に反する不適切な行動をとることが容易に認識できる場合(信頼してはいけないような被害者であることが外部的に明らかである場合)

12 iiojyun 2008/1/9(水) 午後 3:54
・特に例えば歩行者について、幼児、老人、身体障害者、酩酊者など交通秩序にしたがった行動を期待できないような場合(信頼してはいけないような被害者であることが外部的客観的に明らかである場合)、
・事故発生の危険性の高い場所である場合などが挙げられている。

13 iiojyun 2008/1/10(木) 午前 9:19
上記の最高裁判例に基づいて本件を検討していく。

・片岡さんは国道へ出る前に、一旦停止し右方向(土佐方向)を視界の及ぶ限りにおいて見て、車両の来ないことを確認した。もちろん白バイの姿は微塵とも見えなかった。

[・一旦停止位置からの右方の見通しは、第一車線が168m、第二車線が約98mである。法定速度の時速60kmで走行して来た場合で、白バイが走行して来た第二車線で5秒はかかる。

・静かにスクールバスが発進した後、時速5qで走行した場合で、
片岡さんが一旦停止した地点からC地点(白バイがバスに衝突したと検察が主張する地点)まで距離で6.5m、時間で約5秒であり、
バス前部が中央分離帯付近に到達するにの距離で11m、時間で約8秒である。

14 iiojyun 2008/1/10(木) 午前 9:46
(急発進でバスが発進した後、6.5m間に時速10qまで上げてC地点に到達するのに約2.5秒、
中央分離帯付近に到達するに約4秒である。
しかし再現実験や生徒さんの証言から、片岡さんは時速10qは出していない。
この点、起訴状が「漫然時速5〜10qで道路に進出し進行した」とするのは、いいかげんな書き方である)]

15 iiojyun 2008/1/10(木) 午前 10:01
すなわち片岡さんは停止位置で停止し、右方の安全を確認した上で、国道内に静かに進入したのであて、安全確認義務は尽くされている。
発進後、片岡さんは、右方から走行して来る車両については、その車両が前方をよく見て、前方確認義務を尽くしていることを信頼して、また事故を回避できる安全速度で走行して来ることを信頼して、中央分離帯付近まで走行すればよいのである。

16 iiojyun 2008/1/10(木) 午後 6:51
付言すれば、片岡さんは、右方の安全を確認し国道内に入った後は、進行方向を幅広く視野に入れて徐行すればよいのであって、
シバタが片岡さんに、B地点(国道出入り口)からC地点(検察主張の衝突地点)直前に至るまでの間、右方向車両の有無及びその安全確認義務があるというのは、
顔を進行方向とは異なる右方向を向けて走行しろということであり、運転者に脇見運転の義務を課すものであり、裁判官の言葉とはとうてい信じられない。

17 iiojyun 2008/1/10(木) 午後 7:19
シバタ判決文は《Mー2》で以下のように書く。

片岡さんが「右方向から進行してくる車両等の有無及びその安全確認義務を課せられていたのは、B地点だけでなく、北(高知)行き車線の通行を終えるまでの間(但し本件で問題となるのはB地点からC地点直前に至るまでの間)である。」と。
・・これまで検討してきたように、この文は一方当事者片岡さんの注意義務を不当に拡大し、信頼の原則の適用範囲を著しく狭めるものであり、交通社会に確立したルールを無視するものであり、上記最高裁判例に相反するものである。
・最高裁は、シバタ原審が最高裁判所の判例と相反する判断をした事由によって、シバタ原判決を破棄しなければならない(刑事訴訟法405条、410条)。

18 iiojyun 2008/1/13(日) 午前 9:21
『信頼の原則』については中山研一「口述・刑法総論」成文堂や平野竜一「刑法総論T」有斐閣などを参考にしました。信頼の原則についてはネットでも読めますのでご覧ください。

19 iiojyun 2008/1/13(日) 午前 9:51
・KSB第六弾で、衝突白バイの注意義務や速度や制動距離を、再現走行によって立証している。

・KSB第七弾で、A同僚隊員が衝突を見ていなかったこと、スクールバスの速度と白バイの速度を目測していなかったこと、などを再現走行によって立証している。
以上の内容は、既に最高裁へ出された上告理由趣意書にも記載されているでしょう。是非ご覧ください。

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