2審判決理由文その6 2007/12/16(日) 午後 9:39 |
被告側の提示した地裁判決(原判決)に対する反論・反証を如何にシバタが否定したか を、判決理由文より原文のまま転載しました。 段落 強調等はLM737の編集です。 時間関係で補足説明はなしです。 長い文章ですのでプリントアウトして読むことをお勧めします。 皆さんのコメントをお待ちしています。 1・上記2条のスリップ痕様のものの存在とその由来について 所論は,上記2条のスリップ痕様のものは,本件事故により形成されたものではなく,ねつ造された疑いがあり,原判決が被告人車により形成されたと認定したのは誤りである,と主張し,その論拠として, A−1 @被告人車は,二十数名が乗車した大型乗用自動車であり,B地点でいったん停止後6.5メートル進行しただけであって低速まであったから,アスファルトで舗装された乾燥している路上に1メートル以上のスリップ痕が形成されることはない上,急制動の衝撃を感じた同乗者もいない, A−2 A原判決は,路上に顕れた液体が,被告人車と吉岡車のいずれか又は双方から顕れた旨認定しているが,被告人車は右前部のバンパー等の車体の外枠カバーが損傷しただけであるから,被告人車から漏れたとは考えられない, A−3 B原判決は,2条のスリップ模様のものにある他の部分と比べて色が濃い部分は,被告人車前輪の接地面に浸透した液体が,被告人車が撤去されて現れたものである旨説示しているが, 液体は,勾配の関係で被告人車の反対(東)方向にだけ流れている上,右前輪側よりも更に液体から遠く離れている左前輪側のスリップ模様のものにも同じように色が濃い部分があることを説明できない, A−4 C原判決は,被告人の逮捕前に撮影された写真(写真撮影報告書(原審甲23)添付のものの一部)の中にスリップ模様のものが写っているものが存するから,スリップ模様のものは被告人の運転操作によって形成されたとみるのが自然である旨説示しているが,写真撮影報告書には1 30枚以上の写真があるのに,その根拠となる写真を具体的に明示していない, A−5 D被告人は,身元が明白で,逃亡や証拠隠滅を企てたことはなかった上,引致のため土佐署に連行された時にはほとんど何もされず,2日後に釈放されたから逮捕の必要もなかった,逮捕するにしても,実況見分を終えてからすべきであるのに,その前に土佐署に連行し,被告人車,吉岡車及び破片等の撤去後にパトカーに乗せたまま,窓から手を出して被告人車の経路や擦返戻等を指示させただけであって,上記スリップ戻様のもの等を確認する機会を与えられなかったが,これらはスリップ戻様のものや擦過戻のねつ造を疑わせる, A−6 E原判決は,被害者が死亡した重大事案であるなどとして,逮捕が不当であったとはいえない旨説示しているが,告岡死亡の情報が警察に入ったのは,被告人を土佐署に連行した後である, A−7 F被告人車によりスリップ戻が形成されたかは,重要な争点であり,被告人車を使用してスリップ戻形成の有無を検証すればそれが明白になるのに,原審裁判所は,原審弁護人の検証請求を全く理由を示さずに却下し,原判示の事実を認定した, と指摘する。 (ここより弁護側の指摘に対するシバタの判断です) B−1 @のスリップ戻が形成されない点についてみると,一般に,急制動の場合,大型車は,普通車に比べて摩擦係数が低く,制動距離が長くなるため,スリップ戻が長くなるもので,低速度であったからといって, 1メートル以上のスリップ戻が形成されないとはいえない。 また,被告人車は,低速度で進行しており,急制動があっても,減速度が低いから 人に感じる程度の衝撃が生じなかった からといって,スリップ戻が形成されないとはいえない。 しかも,スリップ戻様のものが,上記のとおり,停止地点からやや右に流れるようになっていたことからすると,進行していた被告人車が,吉岡車に衝突され,前部に絡み付くように停止したから, 被告人車のタイヤが,横滑り(あるいは同時にロックも)して停止したことによって形成された可能性もあるから,被告人車のタイヤが完全にロックされていた, すなわち,急制動があったとは限らない。 Bー2 Aの液体の由来の点についてみると,確かに,所論指摘のとおり,上記液体が,被告人車から漏れたとは考え難く,写真撮影報告書(原審甲2 3,特に2枚目表上段,中段等)によれば,吉岡車から漏れたと認められ,原判決のこの点の認定は正確性に欠けている。しかし,この点の誤りが原判決の上記2条の スリップ模様のものの由来についての判断に影響を及ぼすものではない。 B−3 Bの色が濃い部分の出現原因の点についてみると,確かに,所論指摘のとおりであり,むしろ,被告人車が最終的に停止した左右の前輪により強く路面に押し付けられて形成された可能性があるが,その発生機序は正確には不明であって,原判決の説示は正確性を欠いている。しかし,この点の誤りは ,スリップ模様のものの由来の認定に影響を及ぼすものではない。 B−4 Cの写真の明示の点についてみると,上記のとおり,写真撮影報告書(原審甲23)の2枚日表上段,中段,14枚日表全部の写真等であることが明らかであり,原判決が写真を具体的に明示していないからといって,原判決の説示が根拠に乏しいとはいえない。 B−5 T Dの逮捕の正当性及び実況見分への立会いの点についてみると,まず,正確には,実況見分が開始されたのが平成18年3月3日午後2時55分から,被告人が逮捕されたのが同日午後3時4分,吉岡が死亡したのが同日午後3時40分である。そうすると,被告人が逮捕された段階では吉岡は死亡していないが, U いずれにしろ致命傷を負っているから,被疑事実は業務上過失致死に匹敵する業務上過失傷害の重大事案である。そして,被告人車が国道西側駐車場から自歩道を通って北行き車線に進入し,北行き第二車線を進行中の吉岡車と衝突したから,被告人に重大な過失があることが推認される上,重大な結果を招いたから,その刑責を免れるため逃亡するおそれがある。 V また,被告人車には多数の生徒と教員が乗車していたが,被告人は,登校日に被告人車で生徒の送迎をしているから,その刑責を免れるため教員らに働きかけ罪証を隠滅するおそれもある。 W さらに,本件が重大事案であることに照らし,逮捕の必要性があり,後日,身柄を釈放したからといって,その必要性がなかったとはいえない。 X これらによれば,所論指摘の点を考慮しても,被告人の逮捕が違法あるいは不当であったとはいえない。次に,被告人を逮捕した以上,直ちに引致しなければならないのであり,逮捕しながら引致せずに実況見分に立ち会わせることは違法である(刑訴法202条)。 Y そして,被告人は,引致や弁解録取等の法定の手続を経た後,衝突現場でスリップ痕様のもの等の確認等をしているが,その段階では逮捕されており,多くの者が通行する国道での確認等において,所論のような態様を用いたからといって,違法あるいは不当であったとはいえない。 Z なお,衝突現場は,幹線道路の国道であって,早急に交通機能を回復しなければならなかったから,警察官らが,写真撮影や実況見分の主たる目的を達した後,被告人車等の撤去をしたのは不当ではなく、もとよりスリップ痕様のもの等をねつ造するためではない。 B−6 Eの吉岡死亡の認知の点についてみると,上記のとおり,被告人の逮捕後に吉岡が死亡しているから,逮捕の被疑事実は業務上過失傷害であったと思われ,被疑者が死亡した重大事案とする原判決は正確性を欠いているが,吉岡は,衝突直後から全く意識がなく,呼吸はしていたもののロから泡混じりの血を吹いている状態であって(A隊員の原審供述1 2 6項),重大事案であることには変わりがない。 そして,上述の諸点に照らし,原判決が,被告人の逮捕が不当であったとはいえないとする説示は正当である。 B−7 Fの検証請求却下の点についてみると,原審では,事故当日の実況見分調書(原審甲2),事故直後に撮影された写真撮影報告書(同甲23),スリップ痕様のもの及び擦過痕を分析した科捜研技官の証人調べがなされており, これらの証拠によれば、被告人車が衝突時に進行しており,吉岡車が衝突して絡み付いたことによりスリップ痕様のものを形成させたことが認められるから,更に所論のような検証をする必要はなく,原審裁判所の措置に違法不当な点はない。 次回は衝突地点についての弁護側の主張とシバタの判断です。 シバタは「〜〜だとはいえない」ばかり。 この言い回しは『断定』なのか? 断定じゃなければ、検察の主張は「十分に合理的な疑いがある証拠や状況」ってことになるから、「断定」なんでしょうねぇ 終いにはスリップ痕は急ブレーキでついたものじゃないと断定してる??(B−7) |
1 | i_2_me | 2007/12/17(月) 午前 0:40 | 大作でしたね。 お疲れ様。 しかし、ムカツク〜!!! です。 |
2 | iiojyun | 2007/12/17(月) 午前 9:56 | まずシバタには再現実験をしないでおいて、分かったふうに書くなと言っておきたい。 《Bー1について》 再現実験の結果は次の通りである。 ・スタートして急制動した場合で交通事故鑑定人の石川和夫氏がようやく見られる位の薄さで12pから15p。 ・急発進し10q/hにまで上げて急制動した場合で30p。 …短い距離間でスクールバスが10q/hまで上げるのは難しく、急発進しなければ10q/hまで上げるのは難しい。この点においても、片岡さんは急発進していないのだから、10q/hと目測したというA白バイ隊員証言は事実に反する。… 左1.2メートル、右1メートルのスリップ痕は捏造であって、刷毛と液体(清涼飲料水、水、衝突白バイから冷却水が流出していればその冷却水、その他液体)で描いた捏造スリップ痕である。 (参考。12月9日ザ・スクープ、『マガジンX』1月号) |
3 | iiojyun | 2007/12/17(月) 午後 1:26 | (続)「しかも、スリップ痕様ものが、上記のとおり、停止地点からやや右に流れるようになっていたことからすると」とシバタ。 ・・スクールバスの右前輪タイヤ接地面から「やや右に流れるように」スリップ痕様のものが、確かにはっきりと見えている(『マガジンX』1月号p106下段のカラー写真)。 ・右に流れているのは人間が描いた捏造スリップ痕だからである。 ・「路面の窪みまで(塗られたように)黒く変色したスリップ痕の写真」である。 (参考、マガジンX) |
4 | iiojyun | 2007/12/17(月) 午後 1:40 | ☆(続)上記の写真は、当ブログ書庫『現場写真集』[1]の「タイヤとさっか痕とブレーキ痕」に載っているカラー写真です。 |
5 | iiojyun | 2007/12/18(火) 午後 0:05 | 《Aー3とBー3について》 写真スリップ痕の左右二本の先端分が他のスリップ痕部分に比べて異様に黒くなっており、その形はオタマジャクシの頭のように見える。 ・・警察官の誰かが(高新のアノ記者ではないと思うが)バス前輪タイヤの接地面から液体を含ませた刷毛で描き始めた。 先端部分だけが不自然に黒くなった原因は、 (1)刷毛で描かれた液体が勾配の関係で東方向へ流れて、スリップ痕先端部に液体が溜まったものである。 (2)刷毛の最初の一筆には水分を多く含むため、また接地するタイヤに液体がせき止められて溜まったものである。 (3)車体や前輪タイヤの陰になって描かれた液体が蒸発しなかったものである。 (このスリップ痕の写真は、『マガジンX』と『ミスター・バイク』の1月号、『フライデー』12/11号に掲載され、ザ・スクープにも出てきます)。 |
6 | iiojyun | 2007/12/18(火) 午後 0:12 | 上記の捏造スリップ痕写真は、当ブログ書庫『現場写真集』[1]の「捏造スリップ痕写真」に出ています。 |
7 | iiojyun | 2007/12/18(火) 午後 1:59 | このスリップ痕は、スクールバスが中央分離帯付近で停止していたのだから、絶対に付くはずがないものだ。 事故から八ヵ月後の06年11月6日、検察の呼び出しで急ブレーキの証拠だというスリップ痕を見せられ、片岡さんは狐につつまれた思いで「これは何の写真です?」と思わず口走った。(『マガジンX』1月号p106より) |
8 | iiojyun | 2007/12/18(火) 午後 2:14 | シバタは「その発生機序(注、しくみ、メカニズム)は正確には不明であって」と書くが、そうであるならば、なぜ再現実験をやらなかったのか。 ・・ブレーキ痕捏造が 「写真上で疑惑が浮かび上がったのは、その作業が応急措置で粗雑に行われたからに他ならない。片岡被告にブレーキ痕を現場で確認させなかったのは、現場で実際にその痕跡を見たら、簡単に捏造がばれるものだったからではないのか…。 |
9 | iiojyun | 2007/12/18(火) 午後 2:19 | その後、路面は完全にクリーンアップされ、翌日以降、あらためて現場を訪れた関係者(教育長や町長含む)は事故の痕跡すら確認できなかったという。『ブレーキ痕の痕跡』は現場検証の写真の中にしか存在していない…。」 (『マガジンX』p107) |
10 | littlemonky737 | 2007/12/20(木) 午後 11:48 | ですね。 iiojyun様 ありがとうございます。 |